内緒でいろいろ作るんだ。

だだの日記です。忘れないように書いてます。

本 「また、同じ夢を見ていた」

「また、同じ夢を見ていた」 住野 よる ★★★★★
イメージ 1

主人公の女の子は、頭が良くていつも正しいけど、「かしこい」という自分の中の基準でクラスメートを見ていて、人それぞれの気持ちや価値観に気づいたり思いやったり認めてあげることができない子だった。
そんな子が、授業で「幸せとは」を考える中で、別の世界の幸せでない自分と出会い、それぞれの自分が幸せについて答えを見つけて、最後にその女の子も答えを見つけて、一人ではなく人ときちんとかかわりを持ち幸せに生きていく話。

その子が、きちんと人の気持ちを考えられる子になって良かったと思う。
違う世界の自分たちも、幸せの答えを見つけたから、きっとそのあとは幸せになっていてほしい。

この話は、自分の子供のころを思い出して、少し切ない気持ちになってしまう。

私の両親は今も健在で、多少貧乏だったけど、たぶん本人たちはごく普通に育てたと思っていると思う。
でも、私には褒められた記憶がない。可愛がられたという実感がない。

別に虐待を受けていたわけではないし、可愛がっていなかったわけではないのはわかるが、
私に、私のすることに、関心がなかった。
たぶん、自分たちの生活で手一杯で、私にまで気が回らなかったのだと思う。
私は手がかからない子どもだったこともあって、放っておいても大丈夫な子どもだと思っていたのかもしれない。

テストでいい点をとっても、学校をずる休みしても、良いことをしても、嘘をついても、褒められることもなければ怒られることもなかった。たまに本当に具合が悪くなると、めんどくさいという顔をされた。

だからか、私もこの本の主人公の女の子のようだったと思う。
自分を好きではないのに自分の価値感でしか物事を見ることができず、たぶん人をたくさん傷つけたと思う。

幸い、大人になる直前に客観的に自分を見つめる機会があって、人の気持ちを思いやることから人とのつながりが始まることに気づいたので、今は多少ましになっているけれど、子供のころの自分を思い出すとかわいそうになってしまう。

この話がハッピーエンドで本当によかった。